ゆとりるのはてなブログ

ポケモンのダブルバトルで遊んだり、このゆび杯を主催したり、小説を書いたりしてます・w・b

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 最終話 世界の平和はおっきすぎて

最終話 世界の平和はおっきすぎて ジョウト地方の南東にある島国アルトマーレ。その南の沖合に、二十人は乗れそうな大きな船が浮かんでいる。甲板にポケモンを封印するための資材が並んでいるが、今回は出番がなかったようだ。整った身なりをした人間が二人…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第三十三話 しかもこのようなお洒落なお店で

第三十三話 しかもこのようなお洒落なお店で 真・竜星群殴り込み艦隊が勝利を収めてから、二日後。 瓦礫の山と化したアルトマーレの城を、王位継承三位のミツが視察していた。城の再建工事の指揮を取るためだ。「商人は一ヶ月続くと言っていたが、思いの外す…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第三十二話 海は涙を捨てる場所

第三十二話 海は涙を捨てる場所 「パオ! ディン! やっとアンヤをぶっ飛ばせたぜ!」 アルトマーレの城下町まで降りてきたイーユイが、これ見よがしに勝利を報告する。「ああ見ていた。まさか本当に倒せるとは、思ってもみなかったぞ」「必殺のファイヤード…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第三十一話 待ってちゃダメダメむかえにいこう

第三十一話 待ってちゃダメダメむかえにいこう 四方の援軍の様子を「ゆめうつし」で確認したホタルは、最後の追い込みの指示を出す。 「援軍の数は、やはり北からが多い。その分アンヤからの攻撃も北方向が激しいな。西から北に戻った部隊に加えて、さらに西…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第三十話 真・竜星群殴り込み艦隊

第三十話 真・竜星群殴り込み艦隊 アンヤの巨大な暗雲が漂うすぐ外側。次から次へと集まってくるアルトマーレのポケモンたちに、ラティ王が「ゆめうつし」を通じて訴えかける。 「駆けつけてくださった、アルトマーレのポケモンのみなさん。私は、ホウエン地…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十九話 今は憚らない

第二十九話 今は憚らない 補佐班の「いやしのはどう」で、ラテアは自力で飛べるまで回復していた……が。「バンチョーさん……私のせいで……」「はねがなかったら、どうなっちゃうの?」「おばさんも……バンチョーさんを追って……」「しっぽぐるぐるってまわしたら…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十八話 半ではなくて全ですね

第二十八話 半ではなくて全ですね 城下町の広場の中央で、グレンは大きく息を吸う。「てめえらあああ! アタシはあああ! ホウエン番長連合総代いいい! グレンだあああ!」「なんだあのキュウコン。あの帽子と牙の仲間なのか?」「いや。さっきまでにらみあ…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十七話 早業九連

第二十七話 早業九連 「はやわざ……きゅーれん?」「レベッカ様のお背中の上で、お話ししたはずですが」「んな難しい話、聞いたことねーよ」「しっぽの毛並みを整え、神経を集中させれば、しっぽ一本ごとにそれぞれ技を繰り出すことができる……それが『早業九…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十六話 食ってるもんが違うんだろな

第二十六話 食ってるもんが違うんだろな 「「「一惑星完全燃焼! ファイヤードリル!」」」「エタアアアアア!」 グレンとイーユイの「炎の槍」を喰らい、アンヤはひと際大きな咆哮を上げる。 「やっぱ、必殺技の名前があると、火力も上がるな!」「名前を考…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十五話 王こそ前へ出よ

第二十五話 王こそ前へ出よ チオンジェンとレベッカに同行してアンヤから遠ざかっていたハナだったが、今は二人と別れ、ラティアスの背中に乗っていた。 「お背中を拝借するご無礼をお許しください。まさか、ラティ王国の王妃にあらせられるラテス様が、直々…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十四話 竜星群殴り込み艦隊

第二十四話 竜星群殴り込み艦隊 「アンヤを撃退すれば、アルトマーレを襲う竜星群の脅威は去ります。そして撃退の条件は、ここからも見えるあの黒い渦の中心に総攻撃をしかけ、さらに『本体』を引き摺り出して一斉に叩くことです。アンヤは黒い渦の形をして…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十三話 そっちの二人も黙っててくれ

第二十三話 そっちの二人も黙っててくれ 「あなたの目的は、街を破壊する……ではないんですよね。どういったご用でしょうか?」ホタルは言葉を一つ一つ選びながら、イーユイの真意を測る。「そんなに警戒すんなって。まあ、バトル好きっつうのをパオから聞い…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十二話 乙女心がだいばくはつ

第二十二話 乙女心がだいばくはつ レベッカは、その背にハナとチオンジェンを乗せて、北へ走り出した。チオンジェンが自力で走っていたときよりも、五倍は速そうだ。 レベッカたちを見送ったグレンは、ホタルの方を振り向く。地面を深く見つめて、考え事をし…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十一話 人の色恋は蜜の味

第二十一話 人の色恋は蜜の味 「あら、乗せてもらえるのなら助かるわ。でも、背中のラティちゃんたちは大丈夫かしら。レベッカさんの背中の広さ的には大丈夫かもしれないし、なんなら私がよっこらせってラティちゃんを抱っこしてあげてもいいんだど、重さ的…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第二十話 末代まで祟って差し上げないと

第二十話 末代まで祟って差し上げないと アルトマーレの城から北西に向かって、キュウコンの姿のホタルとハナ、そしてレベッカが並走している。レベッカの背中には、ラテアとラテオが横たわっている。グレンの姿は見えない。 「レベッカさんにお城までお越し…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十九話 特別にゲンナマなしで見せてやる

第十九話 特別にゲンナマなしで見せてやる 「え? 口の臭いは関係な……」「いーや、関係あるね。お前の硬さの正体は、誰が何と言おーと、口の臭さだ。そのせいで気が散って、火力が下がってる。頭のクソダサ帽子も、口臭くちくさをなんかアレするやつだろ!」…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十八話 穏やかに暮らせる日

第十八話 穏やかに暮らせる日 「ホタル様、『めいそう』からお帰りなさいませ。この竜星群……いかがいたしましょうか」「ああ、待たせた。パオジアン、キミに聞きたいことが二つある」「なんなりと」 ラテアとラテオに絡まれているパオジアンは、顔だけホタル…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十七話 ご飯食べにくくないですか

第十七話 ご飯食べにくくないですか 「私たちの喫緊の目的は、この人間の街を守ることだ。そこで単刀直入に聞く。あの竜星群を止めるには、どうすればいい?」 ホタルは、降りしきる竜星群を見上げながら、パオジアンに尋ねる。 「アレの発端は、僕たち四人…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十六話 おねえさんが剣でザーン

第十六話 おねえさんが剣でザーン 「ここまで見てきた限り、ひとまず城下町の外まで逃げれば安全そうだ」「竜星群の出どころの方が、このまま大人しく居座っていただければ、ですが」「ちょうど城の上空に、黒い雲が渦巻いていて、その中心から竜星群が降り…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十五話 焼け野原こんがりボディ地方

第十五話 焼け野原こんがりボディ地方 空からの竜星群を受け続けるアルトマーレの城。強固な岩壁も少しずつえぐりとられ、城自体が倒壊するのも時間の問題だ。 「竜星群、むっちゃ降ってるな」 王位継承三位のミツが、無惨な姿となった城を見上げる。「土砂…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十四話 戴冠式の前日に災厄を

第十四話 戴冠式の前日に災厄を 「パルデアを襲った災厄の正体は、四匹の災厄ポケモンたちです。彼らを一ヶ所に集めて解放する……つまり、まとめてモンスターボールから出すことで、災厄の力が発動します。そして、無数の竜星群がその一帯を襲うのです」「な…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十三話 お母様に紹介したい

第十三話 お母様に紹介したい ラテアとラテオは、ジッジの家の庭に仰向けになって寝転んでいる。それを眺めながら、ホタルとグレンは、ジッジの家の縁側に並んで腰掛ける。ひとしきり遊んで、みな休憩の時間だ。 「やっぱ、ガキたちの体力はやべー」「番長連…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十二話 そーゆーの困ってねーんだ

第十二話 そーゆーの困ってねーんだ 「あなた方イチ様陣営をお救いする『神の一手』について、『青写真』に続く二つ目、『お誘いした理由』をご説明させていただきますね」「そうだな。お前たちミツ様陣営だけでやれば済む話だ。そうすりゃ、俺たちに分け前…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十一話 喉笛を喰らいちぎって差し上げます

第十一話 喉笛を喰らいちぎって差し上げます 「……今宵は、ホタル様とわたくしの二人きりで、ございますわね」 ハナは、ホタルを見つめる。「ああ、そうだな。グレンがいない今のうちに……」 ホタルは、窓の向こうの夜空を眺める。 「今のうちにしか言えないが…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第十話 聞くだけタダの神の一手

第十話 聞くだけタダの神の一手 ホタルたちがアルトマーレに着く二日ほど前。 アルトマーレの城の一室に、十人ほどの人間が集まっていた。王位継承一位であったイチの側近と、その庇護を受けていた商人たちだ。 「イチ様が海で嵐に遭ってお亡くなりになり、…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第九話 負けじと腕をピーンと伸ばし

第九話 負けじと腕をピーンと伸ばし 再び人の姿に化けたホタルは、ベッドに横たわってる姉弟の額に手を当てる。やはり、人間と比べてひんやりとしている。ラティたちは、姿形は人に似せる事ができても、体温までは化けることができず、人間のそれよりも低い…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第八話 秒で吹っ飛びましたわ

第八話 秒で吹っ飛びましたわ 深夜の旅館のお手洗いに、ハナの姿があった。 「ふう……どうにか落ち着いてきましたわ。人間のお飲み物にここまで翻弄されるなんて。あの後グレンさんとの『お品書き全制覇対決』が、響きましたわね。辛勝こそ収めましたものの、…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第七話 おしぼりで鼻ふいてください

第七話 おしぼりで鼻ふいてください 「じゃ……話もついたことだし、くおーぜくおーぜ」「あとイチさんたちの船が沈んだ原因も……まあこれは直接は関係なさそうだし、いいか」「せっかくのおいしいお料理が冷めてしまっては、作ってくださった方に申し訳が立ち…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第六話 酒の永久機関

第六話 酒の永久機関 「とりあえず、お上がりくださーい」 クレベースに乗る男からそう言われたものの、イチたちがいる小舟からクレベースの背中まで、身長の倍は高さがある。「上がれって言われても……全然届かなくない?」「ですよね」 二人は、怪訝な表情…

しっぽさまとアルトマーレの災厄 〜 第五話 お前らの仲をズタボロに

第五話 お前らの仲をズタボロに アルトマーレの東の沖。 二人の人間を乗せた小舟が、波に任せて力無く漂っている。 「船が沈んで三日……僕たち、ずっと流されてるよね」「ええ。アルトマーレの陸地は見えますが、付かず離れずと申しますか……」「そういう気休…